DZOFILM 社長インタビュー  〜技術で新しいユーザー体験をもたらす挑戦 〜

投稿者 :柳原秀年 on

これまで、照明やマイクなど多くの中華製機材が登場し、欧米や日本の映像業界に席巻してきましたが、数年前から中華製レンズも登場。業界では、その技術力に驚きを持って受け入れられてきました。その中の一つが、中国では高いシェア率を誇り、ハリウッドでも浸透しているのがDZOFILMです。今回、撮影機材HORIZONが、DZOFILMの徐毅(シュー・イ)氏への単独インタビューに成功。これまでメディアに登場することはまったくなく、ベールに包まれていた社長の哲学や今後の方向性も聞くことができました。


 まず最初に、どのようにDZOFILMが誕生したのか、徐毅社長どんな理念を掲げているのかについて尋ねました。

創業の理念

徐毅社長「DZOFILMは創業以来、『誠実に製品を作る』ことを理念に掲げてきました。私は大学で光学を学び、卒業後も一貫して光学分野に携わってきたのです。そうした流れの中で会社を立ち上げ、『ユーザーにより良い体験を提供する』という想いを持ち続けています。

創業当初は4人だけで、研究開発から市場、調達、製造、組立、工芸に至るまで全員でこなしていました。『自己を超える』『業界を超える』、そして最終的には『ユーザーの認識を超える』。この三段階の超越を企業理念とし、今では、社員500人とその家族を背負う責任を強く意識しています。」

写真から映画用レンズへの転換

徐毅社長「2016年、同社はまず写真レンズを手掛けました。フルサイズ35mm F1.2という高スペックのレンズが好評を博した一方で、映画制作者からの要望が寄せられました。当時は会社も小さく、一歩一歩しか進めませんでしたが、ユーザーの声に応える形で映画用レンズに挑戦することにしました。

そして201819年にアメリカの展示会に出展。ハリウッドのユーザーから直接声を聞き、そのニーズに応える形で生まれたのが初の映画レンズ「Linglong(玲珑)」でした。以降、ズーム、単焦点、アナモルフィックと製品ラインを拡大してきたのです。」


 

 DZOFILMのレンズがどんどんと進化しており、私たちは、そのスピードにいつも驚かされます。その秘密は一体なんでしょうか?それは、ユーザーとともに一緒に成長していくという精神が強みだと答えます。

ユーザーの声と技術革新

徐毅社長「ユーザーの要望は時に難題となりますが、同社は常に『技術とのバランス』を取りながら開発を進めています。初期には国内で非球面加工の技術が存在せず、日本の技術に学びながら、自社で1,000万元近い投資を行い、最終的に突破しました。『技術に近道はない。地道に一歩一歩進むしかない』という姿勢が、同社の成長を支えていると考えています。」


 ちなみに、社長のお気に入りの自社製品を尋ねてみました。

社長のお気に入り製品

徐毅社長「どの製品も 子どものように愛着がありますが、私は特にプライムレンズの「Arles(アルル)」プローブレンズの「X-tract(エクストラクト)」などには強い思い入れがありますね。数多くの試作と改良を重ね、ユーザーに実用的かつ専門的な体験を提供できたことが理由です。」


 日本にも大手レンズメーカーが存在し、ユーザーのレンズを見る目も非常に高いことで知られています。そんな国で展開することは困難もあると思いますが、社長の話からは、だからこそ進出したいし、冷静に分析し浸透することを計画している姿勢が見られました。

 

日本市場への思い

徐毅社長「日本は光学技術において世界的に高い水準を誇る市場であり、DZOFILMにとって特別な存在です。私たちの哲学でもある『誠実に製品を作る』という精神を、日本のユーザーにもぜひ感じ取ってもらいたいです。また、今後は修理・サービス体制の強化も視野に入れており、将来的に日本市場に修理拠点を設けることも考えています。」

 

新たな挑戦

徐毅社長「同社は今後、PLマウントやミラーレス用マウント対応製品の開発を計画しています。また、PanasonicLマウントへの対応や、中判レンズの可能性についても検討を進めているんです。市場の需要を見極めながら、ユーザーの認識を超える体験の提供は、この先、ずっと変わらず目指すことですね。」


 中判レンズの可能性もあることは驚きであり、とても楽しみですね。

 最後に、話してくれたのは、DZOFILMの未来についてです。新興メーカーであるがために、そのハードルは高くもありますが、DZOFILMの目標を力強く語ってくれました。

 

今後のビジョン

徐毅社長「10年、20年先の具体的なゴールは定めていないものの、『技術で創作を変え、ユーザー体験を革新する』ことが目標です。毎年数千万元を研究開発に投じ、技術の進歩を製品に還元し、
『極致のユーザー体験を提供する』ことを掲げ、大企業から学びつつ自社の技術と品質を磨き続けています。」


いかがでしたでしょうか?

新しい開発のみならず、修理センターの可能性もあるとのことで、ユーザーのみなさんも期待が膨らむ話だったのではないでしょうか。弊社「撮影機材HORIZON」も、DZOFILMの新製品開発の一助となり、みなさんに新しい映像体験をもたらせるよう精進していきます。今後ともよろしくお願いします!


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