インタビュー撮影について

投稿者 :柳原秀年 on

先日、とある仕事でインタビュー撮影を行いました。

HORIZONのヒデヤナです!


それは一般の方へのインタビューで、ちゃんと座って対面でのインタビューでした。

そして、このようなテレビ番組(とも限らないけれど…)のインタビューを撮影している現場で、いつも感じることがあります。それは、画作りについて。

※今から述べるのは、あくまで制作者の一人としての僕の私見です!

 

日本におけるインタビュー映像の画作りって、どこかシンプルすぎると感じがことがあります。文字でうまく表現できるか不安ですが、被写体にライトをがっつり当てて明るく撮影するのが基本形のようなイメージ…

斜め上からあてる照明のことを「レンブラントライティング」と言いますが、例え照明をレンブラント照明としてセットしたとしても、トップライトを強めにセットするので、結果的に陰影もすべて打ち消してしまう…陰影は、まったく活かされません。

 

インタビューの映像については、欧米での画作りの方が圧倒的に上手く感じるのは、僕だけなのでしょうか…。

以前、イギリス人カメラマンと仕事をしたことがあるのですが、そのときは、人物に当てる照明を1つか2つセットし、別の照明で背景に光を差したりしていました。しかも光で線を作ったりもしています。

最初から、そのような画作りとしてセットしているので、それが基本形なのでしょう。もともと、欧米では肖像画は陰影を引き立たせて描いていた歴史があります。なので、ひょっとして日本人は、浮世絵を描いてきた国民特有の感性なのか…とすら思うこともあります。浮世絵って、どちらかと言うと光や影を捉えるよりも、色を浮き立たせる画風ですものね?(違ったていたらごめんなさい)

なぜ、こうも違うでしょうか。照明の画作りに関して、根本的な課題は何かと考えた場合…

一つは、「現場の時間のなさ」でしょうか。

しっかり画作りを考える時間が現場にはありません。背景が気に食わないから場所を変えよう、と申し出ることができる現場ばかりじゃないんです。

もう一つの理由は、照明や撮影について学んでこなかった制作側のスタッフが、撮影やら照明など全てを担う(担える)時代になっているということ。

現場で僕たちがカメラを回すことは珍しくなく、簡単な照明を立てることもあります。本当のプロではないので、それなりの映像になってしまいます。(もちろん、中にはすっごい撮影がうまい演出家も存在します。逆に仕切り上手な監督のように長けているカメラマンも知っています。)今は、YouTuberやTikTokerの出現により、なんでもオールマイティにこなせる人材も多く、スタッフの垣根はなくなっています。もちろん、これについてはデメリットばかりではなく、機動性が高い場合もありばかりか、制作費が安く済むことあります。

少なくとも、誰しもレンブラントのような画作りをしたいのに、そうはいかない現状があるとも感じるのです。上記の勝手な推測をまとめると、結局は予算のなさ、ということにつながるのかもしれないですね。さらに突き詰めて言うと、その作品に出資する人たち、それを見る観客や視聴者は、美しい画作りなんて求めていない、という可能性すらあります。

それでも、やはり僕はプロの映像にこだわりたい。美しい画作り、画期的な編集、アヴァンギャルドな演出は、いつの時代だって求められるもので、そうやって映像は進化してきました。映像は文化であり、表現の術です。「こんな表現をしたい!」と言う人が、その文化を築き、「こんな映像が見たい」という声が育ててきました。

常に、自分たちが思う映像の面白さをみんなで追求していきたい。そのために、僕たちに何ができるのかなあと、そんなことを考えた日でした。


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