DZOFILMってなんて読む?
投稿者 :柳原秀年 on
HORIZONのヒデヤナです。
今日は弊社で取り扱っているDZOFILMについて。
DZOFILMは元々、DZOPTICSと言って、2013に設立された中国・深圳市にある工業用レンズを作っていた会社です。 それが、2019年に映画用レンズを作ることになりました。
前回述べたように私は制作畑の人間なので、あまり滔々と技術の詳細について語ることは憚りますが、私たちに、改めてレンズの面白さについて教えてくれたのが、DZOFILMだったと言っても過言ではありません。
HORIZONチームにいる敏腕女子が、DZOFILMのことを知り、直接交渉。そこで彼らから「日本でもっともっと認知度を高めたい」という話ももらい、ブランド戦略を考えるところからのスタートです。
それは、わたしたちにとっても初めての経験。何よりも、これまでの映像制作といった業務とは根本から違います。「だからこそ挑戦してみたい」と、僕たちも会議を重ね、DZOFILMとの関係は始まりました。
そしてまず最初に、とてつもなく基本的な問題が浮上しました。
「DZOFILM」?「これ、どう読むの?」
以前、このレンズを購入したことがあるという知り合いのカメラマンに聞きました。その答えは「わからない」。
「ドゾ?ダゾ?ディゾ?」当時はみんな、好き勝手に呼んでいました。
しかし、このままではいけないので、恥を忍んで、メーカーに直接聞くことに…。
すると… 「好きに呼んでいい」。
う〜…このいい加減さが、中国の人たちと仕事をする楽しさでもあります。
そもそもDZOFILMは、中国本土では、すでに映画業界で確固たる地位を築いており、その呼び名は「ドンチャン」、すなわち「Dong Zheng」。中国語読みです。
しかし、アメリカやヨーロッパですでに売っているだろうに…。
私たちが勝手に名前をつけるわけにはいきません。彼らが自社ブランド「DZO」を読む音を何度も確認し、結果、表記そのままの「ディージーオー」に落ち着いきました。
ただし毎回「ディージーオーフィルム」というのは呼びにくく、わたしたちもついつい「ディジオ」と短めに発音することが多いです。
そんなDZOFILMが「映画のような映像を撮りたい」というライトユーザーやアマチュアに照準を当てて、最初に打ち出したのは「Linglung」というマイクロフォーサーズ用のズームレンズでした。
(これも読み方に悩んだ…リンロン…)
20mmから70mm をカバーしています。
DZOFILMの魅力は、なんと言っても、コストパフォーマンスと質感・画質のバランスです。通常、50万円を超えるような価格が当たり前のシネマレンズ界において、当時20万円前後と、破格の値段で展開。
それこそ現代では、YouTubeなどで実際に使用した映像を見ることができるので、レンズ購入の敷居は下がってきていると言えます。
そんな波に乗ってか、このLinglungは「安くて良いレンズ」として中国では一躍普及しました。 何より、ズームできるシネマレンズとして、ドキュメンタリー界隈では、興奮をもって迎えられました。
その後、スーパー35 ズームレンズ「PICTOR ZOOM」を発売。
(さあ、この呼び方はなんだ!? 答えはピクター…)
そして2021年、欧米を含む各国でDZOFILMの名を知らしめたのが、その後に発表となったVESPIDシリーズでした。
(これはヴェスピッド。スズメバチのこと。素敵なネーミング!)
フルフレームで12mmから125mmまで11個の焦点距離をカバーしています。何よりサイズがコンパクト。重さも725gから1021gと抜群の携帯性を誇っています。
フレアは控えめで、フォーカスブリージングもほとんど気付きません。嫌味がないスッキリとした描写に定評を得ています。
それでいて、13万円から20万円(2025年)という破格の値段。特にインディペンデント界隈の人たち、また映画を始めたばかりの人たちにとって、衝撃の製品だったと思います。
ちなみに、DZOFILMのレンズは、マウントを自分で交換できます。
これまで多くの人がPL仕様やEF仕様などと大人の理由に悩まされてきましたが、その悩みも払拭されました。
そしてついに登場したのが、アナモルフィックレンズ「PAVO」だ!
(パヴォです…)
PAVOは、28mm、32mm、40mm、55mm、75mm、100mmの焦点距離で構成され、65mmのマクロレンズもあります。これは最短撮影距離がわずかで、36.6cmまでピントが合うのが特筆すべきことです。
何より、2倍のアナモルフィック効果を備えているため、劇的なクローズアップも撮ることができます。また135mmと180mmの望遠レンズもあります。最短撮影距離は約1mとかなり近い。重量は1.2~2kg。
紛れもなくDZOFILMのハイエンドモデルで、ベストセラーの一つとなりました。
さらに2024年、ZOFILMはArlesシリーズを発表しました。
(これをアーレスと呼んだ人は英語が読める人。しかし日本語で読むと正しくは”アルル”。アルルはもちろん、ゴッホが愛し晩年を過ごした街のこと。これもいいネーミング!)
14mm、21mm、25mm、35mm、40mm、50mm、75mm、100mm、135mm、そして180mmの10本という品揃えで構成されています。
VESPIDよりももっと柔らかい絵が撮れ、ヴィンテージ風のトーン とも言える、よりシネマっぽさが表現されます。 ボディサイズは統一されており、これによりアクセサリーやバランスなどの調整が不要になり、手間も減らせます。
映画・ドラマ、CM撮影にも最適なシリーズ!値段は一本につき、およそ36万から46万円です。
このように、DZOFILMは、次々と新しい可能性を繰り広げてきました。
2019年にブランドが誕生してたった4~5年で、この勢いというのが、本当に驚きです。
そう言えば、昨年2024年のInterBEEで、メインメーカーの方が私たちのブースを訪れてくれたことがありました。その時、「こんなものを、たった数年で作り、この値段で売るんだ…」と驚きの表情でボソッと呟いていたのが、忘れられません。
そして、今年の頭に登場したのが、映像のマクロ世界を広げるDZOFILMのプローブズームレンズ!「X-tract」です。
(さあ、どう読む!?…正解はエクストラクトです!!)
ズーム機能付きで、最短撮影距離はレンズ前からわずか6mm!!先端部は防水仕様 で、昆虫・料理などのマクロ表現が可能となっています!開放値はT8と、抜群に明るいことも特筆すべきこと。
私たちがDZOFILMのビジネスパートナーとなって以来、旧知の撮影監督や映画監督に紹介し、その結果、これまで多くの作品で採用してくれました。
現在も、大作映画や、テレビ局の大型ドラマでの使用が始まっており、様々な映像製作の現場で、DZOFILMは普及しつつあります。
技術畑において、まだまだ見習いである私たちの感覚では、ミリ数もバリエーションも、これだけ豊富であれば、どんな映像も撮れるだろうと思ってしまうほど、充分な品揃えですが、もちろんそんなことはありません。
人の欲や好奇心は、実に無限大なので、今後もさらなるシリーズが登場します。 まだ見ぬ、新しい映像に出会えることを楽しみにしつつ…これからもよろしくお願いします。
本当に、乞うご期待です!!!